研究課題/領域番号 |
05670071
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 助手 (70195923)
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研究分担者 |
高瀬 幸子 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 教授 (10046196)
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キーワード | ラクターゼ / スクラーゼ / mRNA / 微絨毛膜 / 糖質 / 脂質 / 日内リズム / 小腸 |
研究概要 |
1.ラクターゼ遺伝子発現量を調節する食事要因の解析:ラクターゼ遺伝子発現量の変動をもたらす食事要因として、スクロース、α-メチルグルコシドと中鎖脂肪を比較した。スクロースの摂取により、ラット空腸のラクターゼmRNA、スクラーゼmRNAとNa^+/グルコース共輸送体(SGLT1)mRNAの量はともに著しく増大したが、代謝されない糖質であるα-メチルグルコシドではこれらのmRNA量は変動しなかった。従って、糖質の代謝産物がラクターゼ、スクラーゼ、SGLT1の遺伝子発現量を高める作用を持つものと推察された。また、中鎖脂肪の摂取はスクラーゼmRNAとSGLT1 mRNAの量を増大させたが、ラクターゼmRNA量を変動させなかった。この結果は、ラクターゼの遺伝子発現が糖質の代謝産物によって特異的にもたらされることを示唆している。 2.ラクターゼ発現の日内リズムの検討:スクラーゼmRNA量は酵素活性のピークの数時間前に最大となる日内変動を示したのに対し、ラクターゼmRNA量には日内変動は見られなかった。一方、微絨毛膜の総タンパク質量はラクターゼ活性や他の二糖類水解酵素の活性と平行して変動していた。従って、成熟期におけるラクターゼ活性の変動要因の1つである日内リズムは微絨毛におけるタンパク質のターンオーバーを介して起こると推察された。 3.微絨毛膜二糖類水解酵素の翻訳後修飾過程に及ぼす食事因子の解析:食事要因によるラクターゼmRNA量の変動と対応して、細胞内膜のラクターゼ活性も変動したが、微絨毛膜では長鎖脂肪の摂取によってラクターゼ活性を失ったラクターゼが存在することが明らかになった。長鎖脂肪を摂取したラットのスクラーゼは、細胞内膜からすでに糖鎖の修飾の不完全な、活性を失ったものが認められた。この結果は、長鎖脂肪の摂取が細胞内の二糖類水解酵素の翻訳後修飾を変え、そのため活性を失った酵素が微絨毛膜に移行することを示唆する。
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