ハイパーサーミア時の脳と唾液腺の変化と高温への耐性適応

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05670072
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 古山 富士弥 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00080101)
• 研究分担者: 西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
• キーワード: hyperthermia / body temperature / cell injury / brain / salivary glands / inbred rats FOK / genotypic adaptation / resistance adaplation

研究概要

1、この研究には一部に独自に開発したFOKラットを用いるから、ラットそのものの品質向上と量産が必要である。さらに1993年度初頭に本学の動物実験施設の新築移転にともない、従来の動物実験施設にいたラットの実験群を閉鎖した。この機会に、数匹のFOKラットを実験動物中央研究所に委託してSPF動物化した。この数匹をもとに繁殖に勤め、ようやく実験群を再開し、さらに他の大学の共同研究者へも少数ながらラットを送ることができた。
2、NMDA型受容体アンタゴニストである麻酔薬ケタミンは温熱性唾液分泌を抑制することを先年報告したが、今回、その抑制は麻酔から覚醒したのちも続くことがわかった。この事は、温熱性唾液分泌にNMDA型グルタメート受容体が関与している可能性を示唆している。
3、脳虚血の結果おこる細胞障害を検索した。その結果、視床網様核、偏桃核、海馬のニューロンがガリアスの銀染色法で染まり、その部分が死につつあることがわかった。今後、高体温後の脳で同様の実験を行い、高温が脳にあたえる障害を検索したい。
4、温熱性唾液分泌は、主として顎下腺でおこなわれていることが判った。顎下腺は、遺伝的高温耐性適応の結果、肥大していた。

研究成果

• [文献書誌] Furuyama,Fujiya: "Genetic development of an inbred rat strain with increased resistance adaptation to a hot environment" Am.J.Physiol.265. R975-R962 (1993)
• [文献書誌] Czurrko,Andias: "Collapsed (agyrophilic,dark)neurons in rat model of transient focal cerebial ishemia" Neurosci.Lett.162. 71-74 (1993)
• [文献書誌] Czurrkg,Amdras: "Appearance ofinnunoglobulin G and complement factor C3 in the striatum after transient focal is chemia in the rat" Neurosci.Lett.166. 51-54 (1994)
• [文献書誌] Koide,Kazuo: "Improvement of passive avoidance task after grafting of fatal striatal cell suspensions in ischemic striatum in the rat" Restrat.Neurol.Neurosci. 5. 205-214 (1993)
• [文献書誌] Nishino,Hitoo: "Striatal grafts in the ischemic striatum improve pallidal GABA release and passive avoidance" Brain Res.Bull.32. 517-520 (1993)