研究概要 |
高血圧の成因と、高血圧状態の維持にレニン-アンジオテンシン系が重要な役割を演じていることが近年注目されている。レニン-アンジオテンシン系は、オクタペプチドのアンジオテンシンIIを産生し、このアンジオテンシンIIが受容体に結合することにより、血管平滑筋収縮やアルドステロン分泌などの種々の生理作用を介して血圧と体液量の調節を行っている。つまるところレニン-アンジオテンシン系の作用は、血液中あるいは局所の組織中のアンジオテンシンIIの濃度変化と、アンジオテンシンII受容体数およびsubtypeの変化さらに、受容体の遺伝子発現が変化することなどにより生理的作用、高血圧症などの病的状態が生じると考えられる。本研究の目的は、外因性にアンジオテンシンIIの濃度変化を起こした実験、実験的高血圧モデル動物を用いて、アンジオテンシンII受容体の役割を検討することにある。 WKYラットにアンジオテンシンIIを投与した時、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を投与した場合について研究した。アンジオテンシンII受容体mRNAは肝臓,腎臓,副腎でNorthern blot法にて測定した。アンジオテンシンIItype IAのmRNAは、肝と腎ではアンジオテンシンII投与によりやや減少し、アンジオテンシンII受容体拮抗薬にやや増加したが有意な変化ではなかった。副腎ではアンジオテンシンII投与により減少したが、受容体拮抗薬では変化しなかった。アンジオテンシンII投与により血圧が約50mmHg上昇することから血中アンジオテンシンII濃度は上昇していることは明らかである。アンジオテンシンII受容体拮抗薬の投与により血中アンジオテンシンIIは約10pg/mlから約10倍に上昇した。
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