既知のcDNAの塩基配列よりDNA合成装置でPCR primerに適した塩基配列を20塩基程度を選び、合成した。ウシ副腎皮質束状層組織より調製したmRNAを用いて、PCR(polymerase chain reaction)法によりエンドゼピンのメッセージを増幅したところ、単一のDNAが増幅されしかもその分子量はエンドゼピンcDNAから予想される大きさに一致していた。さらにダイジオキシ法により塩基配列を確認したところエンドゼピンのmRNAが増幅されていることが確認できた。これより、たしかに副腎皮質束状層においてもエンドゼピンが合成されなんらかの生理作用を示す可能性がでてきた。このエンドゼピンのコード領域を発現ベクターに挿入するためには適当な制限酵素切断部位を作成しなければならなかった。また、発現ベクターにエンドゼピンを発現させた後に精製することも考え、pGEX-2Tを用いて、GST(glutathione S-transferase)との融合タンパク質を作らせた。次に、上記のprimerを用いて、コード領域上流にBamH I部位を、下流にはEcoR I部位を付加し、さらに、BamH I部位とコード領域の間にFactor Xより認識切断されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を挿入したプライマーを作成し、PCRによりもう一度エンドゼピンcDNAを増幅した。このPCR産物をBamH IおよびEco RIで消化し、ベクター内に挿入した。さらに、コンピーテント大腸菌HB101にトランスフェクトした。IPTGでタンパク質を誘導し、大腸菌全タンパク質をGlutathione Sepharose 4B columnにより、融合タンパク質を精製した。この融合タンパクをFactor Xaで処理することにより、GSTとエンドゼピンに切断し、再びGlutathione Sepharose 4B columnにより、エンドゼピンのみを得ることに成功した。
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