研究概要 |
本年度は、ジアゼパム非感受性のベンゾジアゼピン受容体の機能をより明らかにする目的で、ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発けいれんに対するエタノールの抑制作用を指標として、ジアゼパム非感受性結合部位に高い親和性を有する各種イミダゾベンゾジアゼピン化合物の作用を検討した。マウスに、PTZを投与(60mg/kg,i.p.)すると、投与2-3分後に間代性けいれんが認められた。このけいれんは、(エタノール1.5g/kg,i.p.)の前処置により消失した。前年度の受容体結合実験から、ジアゼパム非感受性ベンゾジアゼピン受容体に高い親和性を有することが明らかとなったイミダゾベンゾジアゼピン化合物であるRo15-4513(4mg/kg,i.p.)とRo19-4603(4mg/kg,i.p.)をエタノール(1.5g/kg,i.p.)と併用したところ、エタノールの抗けいれん作用に対し顕著な拮抗作用を示した。しかしながら、Ro15-4513とRo19-4603は、フェノバルビタール(50mg/kg,i.p.)の抗けいれん作用に対しては軽微な抑制作用しか示さなかった。また、Ro15-4513とRo19-4603をそれぞれ単独に投与した場合には、けいれんの発現は認められなかった。以上の結果より、Ro15-4513とRo19-4603は、エタノールのPTZ誘発けいれん抑制に対し拮抗作用を持つこと、また、この作用の少なくとも一部は、ジアゼパム非感受性の新しいベンゾジアゼピン受容体を介することが示唆された。
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