まず、マウス骨髄に由来するストロマ細胞であるST2細胞からmRNAを抽出し、ランダムプライマーをもちいてcDNAを合成し、5'側をdG tailingした後、オリゴdCをプライマーとして二本鎖にした。超音波破砕器で200-400塩基対に断片化して得られたcDNA断片を、プロモーターと、リーダーペプチドの部分を除いたTac遺伝子の間に結合した。この融合cDNAライブラリーの中から、数百個のプラスミドのプールを作製し、そのプールをCos7細胞にトランスフェクトした後抗Tac抗体で表面染色をおこなった。細胞表面にTac蛋白が存在する場合には、そのプラスミドプールのなかにリーダーペプチドをコードするcDNAが含まれていると考えられるので、プールの中からさらにリーダーペプチドをもつプラスミドを選び出し、得られたクローンの塩基配列を決定した。また、リーダーペプチドを有すると考えられるcDNA断片をプローブに用して、全長cDNAの単離ならびにシークエンスを行なった。このような独創的な発想を持つスクリーニング法(シグナルシークエンストラップ法)により、極めて簡便かつ効率的に分泌蛋白あるいは膜表面蛋白を単離できるようになった。大規模なスクリーニングを行ない、十数個の未知のクローンを得ることに成功している。現在その構造を解析中である。また、そのうちの一つのクローンはインタークラインファミリーに属する新しいサイトカインであることが明かとなった。
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