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1994 年度 実績報告書

δ-アミノレブリン酸合成酵素の発現が赤血球分化に果たす役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 05670136
研究機関東北大学

研究代表者

藤田 博美  東北大学, 医学部, 助教授 (60142931)

キーワードδ-アミルブリン酸合成酵素 / ヘム代謝 / 赤血球分化 / 赤血球系転写因子 / マウス赤白血病細胞 / 正のフィードバック調節 / β-グロビン
研究概要

マウス赤白血病(MEL)細胞はジメチルスルフオキシド(DMSO)処理等により赤血球分化を始める。我々はMEL細胞由来でありながらDMSO処理にもかかわらず赤血球分化を行なわないDR株を樹立し、赤血球型δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS-E)が発現していないことを明らかにした。DR細胞ではALAS-E以外のヘム合成系酵素のDMSO処理後の誘導は認められたが、誘導の程度はMEL細胞の1/3以下であった。さらにβ-グロビンmRNAはMEL細胞では分化誘導と共に50倍以上に増加するにもかかわらず、DR細胞においては1/10以下に低下していた。このことはDR細胞ではALAS-Eが発現していないためにヘムが減少し、その結果として赤血球系の転写因子に何らかの異常が起きたことを示唆している。そこで赤血球系転写因子の代表であるCATA-1の発現を調べてみたが何の異常も認められなかった。次にNF-E2の大サブユニット(p45)と小サブユニット(p18)の発現を調べたところ、DR細胞ではp45の発現が抑制されていることが明らかとなった。
そこで、ALAS-Eの発現がp45の発現を調節していることを確かめるために、正常なMEL細胞にALAS-EのアンチセンスRNAを発現させその影響を調べた。その結果、ALAS-Eの発現抑制の程度に比例したヘム合成系諸酵素とβ-グロビンの発現の抑制と、結果としての細胞内ヘム濃度の減少が明らかになった。さらにこの細胞系に於てもp-45の発現が著明に抑制されていることが示された。NF-E2はALAS-E以外の赤血球系のヘム合成酵素とグロビンの転写を調節している事が最近明かとなったので、これらの事実から赤血球分化時に於てはALAS-Eの誘導がまず起き、結果として増加したヘムによりNF-E2(特にp45)が誘導され、さらにNF-E2によりALAS-E以外のヘム合成系酵素とグロビンの転写が高まるという正のフィードバック調節が行なわれていることが示唆された。
我々は鉄芽球性貧血においてALAS-Eの発現の異常が起きることを見いだしており、今後この現象と赤血球系転写因子によるヘム代謝調節との関連を明らかにしたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Y.Fukuda,H.Fujita et al.: "Regulation of β-globin mRNA accumulation by heme in DMSO-sensitive and DMSO resistant murine erythroleukemia cells." Blood. 83. 1162-1167 (1994)

  • [文献書誌] K.Meguro,H.Fujita et al.: "The role of the erythroid-specific δ-aminolevulinate synthase gene expression in erythroid heme synthesis." Blood. (印刷中). (1995)

  • [文献書誌] S.Taketani and H.Fujita: "The ferrochelatase gene structure and molecular defects associated with erythropoietic protoporphyria." J.Bioenerg.Biomembr.(印刷中). (1995)

  • [文献書誌] 藤田博美、古山和道他: "ポリフィリン合成系酵素の分子生物学" 日本臨床. (印刷中). (1995)

  • [文献書誌] 藤田博美、赤木玲子他: "赤血球におけるヘム代謝の調節機構" J.Deuter.Sci.(印刷中). (1995)

  • [文献書誌] H.Fujita et al.: "Regulation of Heme Protein Synthesis" AlphaMed Press, 139 (1994)

  • [文献書誌] S.Sassa,H.Fujita et al.: "Regulation of Heme Biosynthesis by Drugs,Hormones and Environmental Chemicals" CRC press (in press), (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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