研究概要 |
これまでにMHCclassII遺伝子発現にポリADPR合成酵素が何らかの形で影響を及ぼしていることは明らかとなったが、本酵素のみが作用しているとは考えにくい。何故なら、B cell line A-20細胞及びRaji細胞にも本酵素は存在しており、調節遺伝子領域の構造がB cellではマクロファージと異なるとは考えにくい。そこで、細胞特異的trans-acting factorが存在し、本酵素とcomplexを形成し作用しているのではないかと考え以下の実験を行った。 (1)本酵素のautomodification domainとDNA binding domainの一部を含むfusion蛋白を調製し、B cell line,macrophage cell lineを^<35>Sでラベルし、その核抽出液とこのfusion蛋白を結合させcomplexとし、Ni-affinity resinで分離した。SDS-PAGEによる分析でB cell lineからは45kDaの蛋白が本酵素と特異的に結合することが判明した。更に 露光時間を長くし、詳しく調べたところ35kDa蛋白とも結合している可能性があった。この結果は、二価cross-linkerを用いた実験でも再確認することが出来た。 (2)一方、humanMHC classIIの1st intron中にあるDNase hypersensitive siteのDNA断片をprobeとして、classII分子を常に発現する細胞、誘導できる細胞及びclassIIを発現しない細胞でSouth-western blot分析を行ったところ、classII分子を発現又は誘導可能なcell lineにのみこのprobeDNAと結合する35kDa蛋白が検出された。 そこで、この35kDa蛋白が本酵素と結合した35kDa蛋白と同一な物か否か検討している。更にこの蛋白をcDNA libraryより単離することを現在検討中である。
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