2-オキソグルタル酸脱水素酵素(OGDH)は、クエン酸回路上の燃料中間体で、しかもヘムや神経伝達物質であるグルタミン酸とGABAの生合成母体でもある2-オキソグルタル酸の酸化的異化分解を触媒するOGDH複合体の成分酵素の一つで、代表的チアミン酵素である。本研究では、申請者がクローン化したヒトOGDHcDNAを用い、その遺伝子のクローン化、構造解析と発現調節の解明を意図した。 1.OGDH遺伝子のクローン化-全長4.2kbcDNAの全長とその5'端(500bp)及び3'端(1.4kb)の制限酵素断片をブローブとしてヒト白血球と胎盤ゲノムライブラリーをスクリーニングし、7個の陽性クローンを単離し、インサートDNAをサブクローニングし、塩基配列を決定した。本遺伝子は全長約100kbで少なくとも22のエクソンと21のイントロンで構成され、エクソン/イントロン境界はすべてgt/ag則に従っていた。エクソンの長さはエクソン17の72bpからエクソン22の1、156bpに及び、イントロンの長さはイントロン15の0.1kbからイントロン1の19kb異常にまで及んでいた。TPP酵素に共通した補酵素TPP結合に関与する特異配列をエクソン9に確認した。3'端のAT-rich領域は含まれていたが、polyadenylatiom signalは認められなかった。5'は端ATGコドンより上流100bpに留まり、ブロモータ領域は決質していた。 2.5'端上流域を含んで遺伝子のクローン化-ヒトリンパ球ゲノムのコスミドライブラリーを、単離クローンDNAの5'端(400bp)とcDNA5'端(500bp)の断片を用いて、クローン化中で、数種類の陽性クローンを得ている。ブロモーターを含んだ5'端上流域がクローン化でき次第、発現機構解析を実施する。
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