研究概要 |
初年度、クエン酸回路の重要中間代謝物質である2-オキソグルタル酸の酸化的脱炭酸分解を触媒する2-オキソグルタル酸脱水素酵素複合体の成分酵素の一つである2-オキソグルタル酸脱水素酵素遺伝子を本酵素cDNAを[α^<32>P]またはDigoxigeninで標識化してプローブとし4種類のヒト白血球λファージライブラリーからスクリーニングを行い、本酵素cDNAの全域をカバーする11個の陽性クローンを得ることが出来たが、5^,端は翻訳開始コドンより240bp上流までしか含まず、5^,上流域の構造は不明であった。更にヒト白血球コスミドライブラリーからスクリーニングを行い、ATGより上流約6kbを含む陽性クローン1個を得ることが出来、本遺伝子の全構造を明かにすることが出来た。本遺伝子は22のエクソンから構成され、エクソンの長さは一番短いエクソン15の72bpから長いエクソン22の1、114bpに及びイントロンの長さは一番短いイントロン17の0.1kbから長いイントロン1の24kbにおよんでいた。本酵素の補酵素TPPの結合領域と推定されている約30アミノ酸残基からなる特種配列はエクソン9に存在していることも確認された。本遺伝子の転写開始点はプライマー伸長法により決定した。翻訳開始コドンから30bpの相補鎖オリゴヌクレオチドを合成し、エンドラベリングした後プライマーとし、HeLa細胞mRNAとハイブリダイズさせ、8M尿素/6%アクリルアミドゲル電気泳動を行い、翻訳開始コドンATGから55bp上流のチミンを転写開始点と決定した。5^,端上流域にはTATA及びCAATボックスともに見いだせなかった。本遺伝子の染色体局在はヒト×ハムスターハイブリドーマのセグリゲーション法及びFISH法により第7染色体p13-p14と決定した。
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