研究概要 |
我々はウイルス感染細胞にたいして細胞融合を誘導することのできる宿主細胞因子に対するモノクローナル抗体を得ることに成功した。この因子をFusion Regulation Protein(FRP‐1,‐2)と命名し、そのモノクロナール抗体を用いてFRPの諸性質を検討してきた。本研究の目的としては:(1)FRP‐1の大量精製、(2)アミノ酸部分配列の決定、(3)遺伝子クローニングによる全構造の決定、(4)細胞におけるFRPの調節機構、以上の点をあきらかにし、多核球形成の分子機構を解明する。 以上の目的に対し、平成5年度は、 1.FRP‐1の大量精製に成功した。 2.アミノ酸配列分析が進行中である。 3.抗体を使用したエクスプレッションクローニング(1gt 11,pCDM8の両者の系)についても進行中でどちらも候補クローンをいくつか得ている。 4.このFRPシステムを介する膜融合機構に関与する分子についても検討中で各種阻害剤を用いて検討した結果、タンパク質リン酸化酵素阻害剤がこの膜融合系を阻害することを見出した。 5.FRPはいくつかの分子(Fusion Reguration Protein Related Molecule:FRM)と複合体を形成していることが示唆されているが、このFRMに対するモノクロナール抗体を用いた解析も進行中である。 上記したように目的達成のため順調に進行中である。FRP‐1は2次元電気泳動上heterogeneityがあような結果が得られ、アミノ酸配列では決定的な配列が得られない可能性があるので、エクスプレッションクローニングを重点的に進めて行きたいと考えている。
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