研究概要 |
平成5年度、昨年に引き続き、われわれは遺伝的てんかんElマウスのcDNAライブラリーからS-Adenosylhomocysteine hydrolase(S-AdoHocysHlase)geneを分離したが、これはElマウスの生後1日目の肝で異常発現するmRNAに由来するものである。このcDNAをプローブにして、ddY,ElマウスのゲノムDNAに対し各種制限酵素(BglII,EcoRI,HindIII,MspI,PstI RsaI)によるRFLPの検出を試みた。その結果PstIがRELPを与えることが分かった。ddYの2.5kb断片がElマウスでは1.9kbとして検出され、Pst I siteの附加的突然変異が想定された。一方、同じプローブによるmRNAに対するノーザンブロッティングで、生後1日目の肝でElマウスに異常に高い発現が確認された。脳ではしかし、発現が約1/10と低く検出が困難であった。この2つの事実から、S-AdoHocysHlase geneの突然変異はてんかんElマウスに特異的であることが証明された。またF1(ddYxEl),BALB/c,C3H/He,C57BL/6J,DBA/1Jに対するPst I-RFLPの検出で、C57BL/6JとDBA/1JがElマウスタイプのパターンを示すことが分かった。C57BLとDBAの2種からはてんかん原性と関連していることが示唆される。 2年に亘る研究からわれわれは、Elマウスからてんかん関連の遺伝子を2つ分離した。一つはS-AdoHocysHlase gene,他はIsocitratedehydrogenase geneである。もともとわれわれはてんかんには複数遺伝子の関与を指摘してきており、この他Naイオンチャネル遺伝子、抑制性GABAシステム関連遺伝子がてんかん関連遺伝子として研究している。
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