研究課題/領域番号 |
05670169
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
水上 勇治 金沢大学, 医学部附属病院・病理部, 講師 (60110540)
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研究分担者 |
滝沢 剛則 金沢大学, 医学部・生化学, 講師 (40192158)
道岸 隆敏 金沢大学, 医学部附属病院・核医学, 講師 (60020012)
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キーワード | TSH受容体 / 免疫組織化学 / モノクローナル抗体 / up‐regulation |
研究概要 |
昨年度の研究にて明らかとなった甲状腺癌及びクレブス病甲状腺でのTSH受容体のup‐regulation機序について、さらに詳細に組織像とTSH受容体発現との関連性を検討した。甲状腺乳頭癌では強い発現が認められるものの、低分化傾向を示す乳頭状癌ではTSH受容体の発現は低下し、扁平上皮化生巣や未分化癌ではTSH受容体は検出されなかった。またHurthle細胞癌でも、その発現はかなりの低下がみられた。このことはTSH受容体の発現が、甲状腺癌の分化度と密接に関係していることを示すものであった。一方グレブス病甲状腺では、TSH受容体の発現は、患者の甲状腺機能状態またTBII活性値と相関し、一般に末梢T_3,T_4値の高い例、TBIIの高い例に強い発現が認められた。また、抗甲状腺治療により機能正常化したグレブス病甲状腺でのTSH受容体の発現は低下しており、このことはTSH受容体のup‐regulationがグレブス病機能亢進の病因の一つである可能性を強く示唆するものであった。 次にwestern blotting法によるTSH受容体蛋白の生化学的定量を試みた。甲状腺組織をホモジナイズ後、SDS電気泳動を行い、これをニトロセルロース膜に転写、その後免疫染色を行なった。現在多数例で検討中であるが、TSH受容体の染色バンドの再現性に問題があり、一定の結果が得られていない。おそらくSDS電気泳動によるTSH受容体蛋白の抗原性の失活等がその原因として考えられる。現在、さらに泳動条件、染色条件を検討中である。
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