Fluorescence in situ hybridization(FISH)法による7番、17番染色体異数性に関する検討を行った。まず、胃癌培養細胞株MKN-7とTMK-1細胞の核型分を行ったところ、7番染色体は両者ともdisomy、17番染色体数は前者でdisomy、後者ではtrisomyであった。そこで、新鮮培養細胞およびヌードマウス皮下移植後にホルマリン固定パラフィン包埋し、FISH法をおこなった。17番染色体に関しては、MKN-7は大部分が2個、TMK-1は3個のスポットが見いだされ、核型分析の結果とよく一致した。しかしながら、ホルマリン固定が5日間の標本では蛍光シグナルの見いだされない細胞が約25%となった。従って、FISH法は適切な固定が施されている限り、パラフィン包埋ブロックを用いた検索が可能であることが示された。 次に、ヒト胃癌10症例のパラフィン包埋ブロックから細胞を単離し、7番および17番染色体数をFISH法で検討した。9例では7番、17番ともdisomyである癌細胞が優位であった。乳頭状腺癌の1例では7番染色体シグナルが3個以上を示す癌細胞が57%に見いだされた。なお、4症例では原発巣とリンパ節転移巣における染色体シグナル数を比較したが、有意の差はなかった(投稿中)。 萎縮性胃炎、腺腫、胃癌におけるアポートシス細胞の可視化に関する基礎的検討を行った。アポートシス細胞はヌクレオソームがランダムに切断されている。そこで、断片化したDNA 3'末端にビオチン標識したデオキシヌクレオチドをTdTに付加する反応を利用した(TUNEL法)。胃癌では低分化腺癌より高分化腺癌においてアポートシス細胞の比率が有意に高かった(投稿中)。現在、萎縮胃粘膜および腺腫におけるアポートシス細胞の発現について検討を行っている。
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