研究概要 |
1.平成5年度の研究実績 (1)胃癌におけるc-met遺伝子の増幅,ならびに6.0Kb c-met異常転写産物の発現については,それぞれ論文発表した.(Kuniyasu,H.,Yokozaki,H.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun,189:227-232(1992),Kuniyasu,H.,Yokozaki,H.,et al.,Int J Cancer,55:72-25(1993)) (2)6.0Kb c-met異常転写産物の発現が確認されている胃癌培養株KATO-IIIより作製したcDNAライブラリーを既存のpmetHプローブにてスクリーニングしたところ,2種の陽性クローンを得,現在それらの塩基配列を決定中である. (3)c-met cDNAの種々の部位に対するオリゴヌクレオチドプライマーを用いたRNA-PCR法による異常スプライシングの検索では,c-met cDNAの2265から2319位までの54塩基がスプライスアウトされた形のmRNAが胃癌ならびに正常胃粘膜において優位に発現されていることが明かとなった.しかしながら、これが,胃癌に特異的に発現される6.0Kb異常転写産物の発現を説明するものではなかった. 2.今後の研究の展開に関する計画 (1)現在までにKATO-III株により2種の6.0Kb c-met異常転写産物陽性クローンを得ているが,従来の方法により作製されたcDNAライブラリーでは,高分子量cDNAを効率良くクローニングすることが困難であることが明かとなった.現在,大阪大学微生物研究所,野島 博博士らの開発したpAP3neoベクターを用いた高分子量cDNAライブラリーを作製し,再クローニング中である.
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