研究概要 |
1.平成6年度の研究経過 (1)胃癌におけるc-met癌遺伝子領域を含めた第7番染色体の対立遺伝子欠失について多数症例を用いた詳細な研究を行い,論文発表した(Kuniyasu,H.,Yokozaki,H.,et al.Int.J.Cancer,59:597-600,1994). (2)前年度に胃癌培養株KATO-IIIcDNAライブラリーより得られた2クローンの塩基配列解析を行ったが,いずれもc-metの部分的配列を含むのみであり,full lengthの6.0Kb c-met cDNAは得られなかった。また、pAP3 neoライブラリーでのクローニングでも、同様の結果であった. (3)c-met cDNAの種々の部位に対するオリゴヌクレオチドプライマーを用いたRNA-PCR法による異常スプライシングの検索では,c-met cDNAの5'側で増幅困難な部位が存在することが明らかになった. 2.平成6年度の研究の評価 (1)現在までに,cDNAライブラリーからのクローニングを進めてきたが,標的となる転写産物が6.0Kbと大きくfull lengthのcDNAを得ることが困難であった.今後,ヒト末梢血リンパ球genomic libraryよりのクローニング等,方法論の検討が必要とみなされた. (2)RNA-PCR法でc-met cDNAの5'側で増幅困難な部位が存在することより,6.0Kb異常転写産物が,c-metの5'側におけるスプライシングの異常によって生成される可能性が示唆された.
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