1)内分泌腫瘍におけるニューロン特異β-tubulin蛋白の発現 下垂体腺腫においては、本年度も引き続き検討したが、前年度と併せ、80%の発現率を示した。甲状腺髄様癌(カルシトニン産生C細胞腫瘍)では45%、膵内分泌腫瘍では30%、副腎髄質褐色細胞腫ではほぼ100%、肺の小細胞癌においては10%の発現率をみた。このように同じペプチドホルモン叉はアミン産生腫瘍でも、発生臓器とその構成細胞の分化度により発現の程度が異なることが明かとなった。 2)ニューロン特異ClassIIIβ-tubulin isotype抗体TuJ1を用いたニワトリ胎生期における頸動脈体部のグロームス細胞分化 脳β-tubulin 、Leu-7抗体と共にTuJ1を用い、鶏胎生期頸動脈体部の細胞のClassIIIβ-tubulin isotypeの発現を経時的に検討したところ、孵化6日では当該原基には発現を見ず、8日までに原基の周囲の細胞に発現を見、9日〜12日で原基内の発現細胞は増加し、これらの発現細胞は頸動脈周囲、遠位迷走神経節と連続して分布していた。これらの発現細胞は上記神経節から移動してくるものと考えられた(解剖学教室亀田蓉子博士との協同研究)。 3)ClassIIIβ-tubulin isotypeの超微局在 免疫電子顕微鏡観察のため、クリオミクロトームを用い、標本を作成した。正常末梢神経においては、微小細管に上記抗原の局在を同定できたが、その他の細胞質部位の局在は明らかに出来なかった。
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