研究概要 |
1.本研究の予備実験としてこれまでに行ってきた、巨核球の分離培養系を使ったバイオアッセイ法によるトロンボポエチン活性の検定をさらにすすめた。各種リコンビナント造血因子のうち巨核球系造血に関係するMEG-POT(巨核球成熟因子)としてIL-6,Epo,IL-11,EDF,LIF,SCF,GM-CSFなどについて、有血清(2%FCS添加)及び無血清下で検討した。免疫ビーズ法で分離したラット巨核球をIMDM培養液で上記の因子を添加して培養を開始し、巨核球が形成する前血小板(Proplatelet Formation,PPF)を観察し、この前血小板を形成する巨核球数を算定してPPF活性すなわちin vitroでのトロンボポエチン活性とみなした。その結果、IL-6(10ng/ml)とEpo(1U/ml)添加では培養2-3日目をピークとする顕著なPPFを認め、かつ容量依存性であり、両者は相乗的に作用した。これに対して、他の因子は明らかなPPF活性をしめさなかった。このIL-6,EpoのPPF活性は無血清培養においても認められ、かつ各々の抗体で失活したので因子自身が持つ活性と判断される。 2.ヒト線維芽細胞(KD細胞株)を使った巨核球との共培養系で、同様のPPF活性を検討した結果、IL-6およびEpo添加によるPPFは有血清下ではさらに増強され、最高で約10倍に達した。この増強作用はIL-6とEpoの抗体で消失したが他の因子に対する抗体添加では残った。間質細胞のみの培養上清にはこの増強作用はなく、かつ共培養系では微量のIL-6(1ng/ml)を添加するだけでEpoのPPF活性は容量依存性に顕著に増強されることから、KD細胞にはIL-6とEpoのPPF活性を増強する補助因子が存在すると考えられる。現在、この増幅作用の解析を接着因子、膜糖鎖と関連ずけて進めている。KD細胞の細胞膜成分から可溶化タンパクの抽出を試みている。
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