研究課題/領域番号 |
05670192
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
春日井 務 大阪大学, 医学部, 講師 (80214310)
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研究分担者 |
廣田 誠一 大阪大学, 医学部, 助手 (50218856)
実宝 智子 大阪大学, 医学部, 助手 (70252658)
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | Ws / Wsラット / c-kitレセプター / 好親和性IgEレセプター(Fc ε RI) / ヒスタミン / cultured mast cell / stem cell factor(SCF) / マスト細胞前駆細胞 / Nippostrongylus brasiliensis |
研究概要 |
1.Ws/Wsラットは我々の研究室で発見した世界で最初の遺伝的マスト欠損ラットである。Ws遺伝子座はc-kitレセプターをコードとしており、WS/WSラットではc-kit遺伝子に12塩基の欠失があるため組織中の成熟したマスト細胞を欠損する。本研究ではWs/Wsラツトの組織中に幼弱なマスト細胞が存在するかどうかを検討するため、マスト細胞の分化過程でより早期に発現していることがわかっている好親和性IgEレセプター(Fc ε RI)およびc-kitレセプターと、より好感度で検出できるヒスタミンをマーカーとして定量を行った。その結果、Ws/Wsラットの皮膚のヒスタミン含量は正常(+/+)に比べてほぼ無視できる量であり、in situハイブリダイゼーションによってもFc ε RI及びc-kitレセプターのmRNAを発現する細胞は検出できなかった。以上のことよりWs/Wsラットの組織中には成熟したマスト細胞に加えて、幼弱なマスト細胞も欠損することを明らかになった。 2.+/+及びWs/Wsラットの骨髄細胞をinterleukin-3が含まれていることがわかっているconcanavalin A-stimulated spleen cell conditioned medium(ConA-SCM)の存在下で培養したところ、ほぼ同程度の効率で培養マスト細胞(cultured mast cell:CMC)が得られた。しかしWs/WsラットのCMCはc-kitレセプターのリガンドであるstem cell factor(SCF)に対してはきわめて軽度の増殖反応しか示さなかった。さらにCMCとSCFを発現していることがわかっている線維芽細胞との共生培養の実験系を用いて、マスト細胞の表現形質の転換について検討したところ、マスト細胞が結合組織型マスト細胞様の表現形質を獲得するにはc-kitレセプターを介したシグナル伝達は必須でないことが明らかとなった。 3.消化管寄生虫であるNippostrongylus brasiliensis(NB)を+/+ラツトに感染させると、小腸粘膜内のマスト細胞の著明な増加が起こる。この増加の機構を調べるため、NB感染に伴う各種臓器内のマスト細胞前駆細胞の動態を検討した。マスト細胞前駆細胞は各々の組織から分離した単核球をconA-SCMとSCFを含むメチルセルロース中で培養し、マスト細胞のコロニー(CFU-Mast)数を同定することで算定した。なお今回の培養条件ではWs/Wsラットの単核球からは少数のマスト細胞コロニーしか得られず、NB感染によってもCFU-Mast数の有意な変化は認められなかった。+/+ラツトにおいては骨髄のCFU-Mast数は変化せず、末梢血のCFU-Mast数は感染後1週で感染前の約20%にまで減少した。一方、小腸粘膜内のCFU-Mast数は感染後1週目に感染前の約7倍に増加した。さらにS期にあるCFU-Mastの比率はNB感染によっても骨髄、末梢血では低値のままであったが、小腸粘膜内では有意に増加した。以上のことより、NB感染に伴う小腸粘膜内のマスト細胞数の増加は、末梢血からのマスト細胞前駆細胞の動員と組織に侵入したマスト細胞前駆細胞自体の増殖によって起こると考えられた。
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