研究概要 |
Trinitrophenol化ovalbumin(TNP-OA)を作製し,等電点10以上に陽性荷電化した後精製した抗原を、Wistarラットの左腎動脈から潅流した。対照群としては、精製非陽性荷電化TNP-OAを投与した。単量体陽性荷電化TNP-OAは、抗原投与後36時間までは、腎尿細管基底膜(TBM)ならびにBowman嚢へ局在を示したが、72時間目ではその沈着性は著明に減少した。単量体非陽性荷電化TNP-OAは、腎尿細管上皮胞体内に細顆粒状に陽性を示したが、TBMやBowman嚢への沈着はなかった。ハプテン(TNP)特異的過敏性間質性腎炎の誘導実験では,液性免疫負荷実験に於いてのみ、好中球を主体とした尿細管間質炎を認め、In situ型間質性腎炎が発症した。抗TNP細胞性免疫負荷実験ならびにTNP感作マウス脾細胞(CD4陽性細胞またはCD8陽性細胞)の細胞移入実験に於いては、尿細管上皮に顕著な懐死性変化を認めたが、間質内炎性細胞湿潤はなく人体症例に見られる尿細管炎の病像は得られていない。
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