研究課題/領域番号 |
05670215
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
萩原 康子 国立精神・神経センター, 神経研究所・機能研究部, 室長 (00175530)
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研究分担者 |
水野 裕司 国立神経, 神経センター・神経研究所・機能研究部, 流動研究員
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キーワード | 筋ジストロフィー / 骨格筋 / 筋芽細胞移植 / ジストロフィン / mdxマウス / C2細胞 |
研究概要 |
本研究の平成5年度の研究目的は、Duchenne型筋ジスロフィーのモデル動物でジストロフィン遺伝子に障害のあるmdxマウスの骨格筋に正常筋芽細胞を注入移植して、1.注入移植した筋芽細胞の宿主筋組織内での動向を明らかにすること、2.注入移植した筋芽細胞の遺伝子により作られたジストロフィンが、筋組織でどのように出現するのかを明らかにすることであった。 ヌードmdxマウスの下肢骨格筋に、マウス筋芽株細胞のC2細胞を用いて注入移植実験を行なった結果、高率にジストロフィン陽性筋線維が出現した。この実験系を用いて注入移植された筋芽細胞の宿主筋内での動向を経時的に調べるために、C2細胞を蛍光色素PKH26で標識して注入移植した。細胞の入り込んだ領域における宿主筋線維の変化、ジストロフィン陽性筋繊維の出現、ジストロフィン陽性筋線維の筋原線維及び基底膜の形成を経時的に免疫組織化学的方法で調べた。さらにGlucose‐6‐phosphate isomerase(GPI)isoenzyme法による判定で、C2細胞と宿主細胞とのハイブリッド形成について調べ、ジストフィン陽性筋線維の出現機序を検討した。 PKH26の蛍光標識によりC2細胞が入り込んだ領域が認識された。その領域では宿主筋線維の損傷、破壊がみられ、注入移植後2-3日目に小さなジストロフィン陽性筋線維がわずかに出現した。その後経時的にジストロフィン陽性筋線維のサイズ、数が増大した。GPI isoenzymeの判定から、C2細胞の宿主筋細胞とのハイブッリド形成は3日目には認められなかったが7日目には認められた。これらの結果から注入移植後の早い時期に出現するジストロフィン陽性筋線維はC2細胞同士の融合によって形成されたものであり、やがて損傷、破壊を受けた宿主筋線維の筋衛星細胞とC2細胞が融合して形成されたジストロフィン陽性筋線維が出現すると考えられた。
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