研究課題/領域番号 |
05670219
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
阿部 達也 秋田大学, 医学部, 助教授 (80128363)
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研究分担者 |
島田 博子 (菅谷 博子) 秋田大学, 医学部, 助手 (30235626)
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
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キーワード | 粘膜肥満細胞 / IL-3 / サイトカイン / 腸管免疫 / 感染防御 / Strongyloides ratti / マウス / RT-PCR |
研究概要 |
腸管粘膜肥満細胞増加に関与するIL-3などのサイトカインmRNAをReverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)で測定する条件は、ほぼ設定できた。しかし、RT反応は用いるreverse transcriptase(Cloned moloney murine leukemia virus 由来とAvian myeloblastosis virus由来)で異なった条件の設定が必要であった。IL-10のmRNAは現在のところ検出できないが、条件などを検討中である。 正常およびネズミ糞線虫感染C57BL/6マウスの腸管、腸管膜リンパ節、脾臓から全RNAを抽出し、サイトカインmRNAの経時変化を調べた。IL-3cDNAを組み込んだX63BMG細胞にIL-3mRNAが検出される条件では、いずれの組織にもIL-3mRNAは検出されなかった。これに反して、actinおよびSCFのmRNAはいずれの組織でも強く検出された。SCFmRNAは腸管膜リンパ節では正常マウスよりも感染により増加する傾向が見られたが、腸管組織では感染による増加は認められなかった。IL-4mRNAは腸管膜リンパ節では感染7日目をピークにし、正常リンパ節でも弱く検出された。しかし、腸管では顕著な発現は7日目に限定され、脾臓では11日目の方が強く検出された。IL-3mRNAはRT-PCRに使うRNA量を増加すると感染7日目のリンパ節に弱く検出され、発現量がIL-4や SCFに比べ少ないことが示唆された。糞線虫感染マウスの腸管膜リンパ節細胞をin vitroで抗原刺激すると培養上清中にIL-3様の肥満細胞増殖因子活性が検出できることはすでに報告した。なぜIL-3はmRNAレベルでの発現が低いのか、興味ある問題が提起された。生体内では、IL-3は抗原刺激で産生された後速やかに産生が止まるか、あるいはIL-3はごく微量しか産生されず、粘膜肥満細胞の増加にはSCFなど他のサイトカインが関与する可能性などが考えられる。IL-3mRNAの検出技術の問題をも考慮しながら、今後さらに検討が必要である。
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