研究課題/領域番号 |
05670223
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
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研究分担者 |
森 順彦 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (20256986)
伊藤 守 実験動物中央研究所, 免疫研究室, 研究員 (00176364)
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キーワード | ニューモシスチス・カリニ / ニューモシスチス・カリニ肺炎 / モノクローナル抗体 / ribosomal DNA / Schizodeme analysis / 人獣共通感染症 / 日和見感染症 / AIDS |
研究概要 |
これまでにニューモシスチス・カリニ(Pc)感染ヒト、マウス、ラット、ブタ血清およびヒト、マウス、ラットPcに対して作製した各モノクローナル抗体パネルを用い、各種動物由来Pcのそれら抗体に対する反応性を酵素抗体法、蛍光抗体法、免疫ブロッティング法にて検討した。Pc抗原材料としては、SCIDマウス、ヌードマウス、ヌードラット、ステロイド剤投与ラット、腎移植患者、AIDS患者および自然発症ブタ由来のPcを用いた。その結果、各宿主由来Pc間に著しい抗原性の差異が存在することが明らかとなった。例えば、抗マウスPcモノクローナル抗体はラットPcとは交叉反応性が認められるものの、ヒトおよびブタPcとは反応しなかった。同様の結果は抗ヒトPcモノクローナル抗体を用いた場合にも認められた。すなわち、各種動物由来Pcの抗原の著しい多様性が示唆され、Pcが一属一種であり、人獣共通感染症であるとするこれまでの説に大きな疑問が投げかけられた。しかしながら、同一宿主種由来のPc、さらには同一個体由来のPcにも抗原の多様性が認められ、Pcが生物学的に多様な微生物群であることが示唆され、その多様性の解釈には問題が残っている。ラットおよびマウスPcについては更にribosomal DNAについてSchizodeme analysisを行ったが、これまで用いたendonucleaseによるfragment patternでは差異は認められなかった。しかし両者ribosomal DNAの塩基配列を決定したところ、両者に差異が認められ、各種動物由来Pcの抗原性の多様性を裏付ける結果が得られた。一方、各種動物由来Pcを材料としたZymodeme analysisにおいては宿主由来酵素の混入が避けられず明瞭な結果が得られなかった。今後、対象とするPc特異的酵素の検討が必要と考えられ、現在検討中である。
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