研究課題/領域番号 |
05670231
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
|
研究分担者 |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
|
キーワード | トランスシアリダーゼ / シャーガス病 / クルーズトリパノソーマ / トリポマスチゴート / シアル酸 / 遺伝子多様性 |
研究概要 |
Typanosoma cruziのtrypomastigoteが宿主細胞に侵入する際に、原虫表面のシアル酸が重要な役割りをしている。T.cruziはシアル酸を合成出来ず、表面に存在するtrans-sialidaseが宿主由来の糖複合体から原虫表面の受容体にシアル酸を転移して取り込んでいる。私達はこのTS遺伝子のクローニング、発現を行って、TSの遺伝子は幾つか存在すること、それらは非常によく似ているにもかかわらず一部の遺伝子のみが活性のある酵素を与えることを明らかにしてきた。活性型と不活性型のそれぞれ1種類について全塩基配列を決定してその構造と発現調節について比較を行った。5′非転写領域は少なくとも上流300塩基対以上にわたって全く同じであり、両者は同じ発現調節を受けていることが示唆された。活性と直接関係のないC末端反復領域には、反復回数のみならず配列そのものにもかなりの違いがみられたが、活性部位を含むN末端側(約650残基)には7ケ所のみ置換が認められた。それぞれの置換の活性との相関を調べるために変換体を作成したので、現在それらの性質を解析中である。細菌シアリダーゼと一次構造では25%程度の類似性でしかないが、二次構造、疎水性プロフィールは非常によく似ており、全体の構造、反応機構の共通性が確認出来つつある。 TS活性の時間変化を調べたところ、トリポマスチゴートの非常に初期のみに発現されているらしい結果を得ている。また、種々のストレインでTrans-sialidase活性に差があるという結果も得た。しかし、TS活性と感染力との関連については、まだはっきりした結論は得られていないのが現状であり、さらに検討を加えている。
|