研究課題/領域番号 |
05670235
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
有薗 直樹 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10079725)
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研究分担者 |
手越 達也 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40254370)
山田 稔 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70106392)
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キーワード | PIE症候群 / レフラ-症候群 / マスト細胞 / 線虫 / Nippostrcngylus / 好酸球 / Ws / Wsラット |
研究概要 |
Nippostrongylus brasilicnsisをラットに感染すると、幼虫の肺移行の後、肺でマスト細胞の増加、好酸球浸潤とともに肉芽腫様病変が形成され、この肺病変はレフラ-症候群あるいは広くPIE症候群のモデルになると考えられる。肺肉芽腫病変の発生におけるマスト細胞の役割を明らかにするため、本年度は先天的にマスト細胞を欠損するWs/Wsラットおよび対照として正常にマスト細胞が存在する+/+ラットを用いて、N.brasiliensis再感汚染に発現する肺病変の解析を中心に研究を実施した。初感染28日後に再感染を行ったところ、両系統間でN.brasiliensisの肺-小腸移行の時間経過およびworm burdenに差は見られず、幼虫は小腸に到達した後、発育せず排除された。再感染時の気管支洗浄液中および肺組織中における好酸球浸潤は、+/+でWs/Wsラットよりも高度であった。+/+ラットにおける再感染時の肉芽腫は初感染の場合よりも早期(再感染3日後にピーク)に発現し、また初感染の場合よりもはるかに大型の肉芽腫が形成された。Ws/Wsラットにおいても再感染で大型の肉芽腫が出現する傾向にあったが、+/+ラットにおける肉芽腫面積の約1/4と、肉芽腫の形成が抑制されている事が明らかとなった。+/+ラット肺におけるマスト細胞数は再感染1-3日後にむしろ一過性の減少が見られた。この時期、肺ヒスタミン含量およびRMCPII量も減少しており、これらはマスト細胞の活性化とメディエーターの放出の結果であると推測された。以上の結果から、N.brasiliensis感染にともなう肺の好酸球浸潤と肉芽腫の形成にはマスト細胞の存在とその活性化が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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