われわれは、病原性酵母Candida albicansの電気泳動核型が菌種、菌株によって変化していることに注目し、これが染色体再配列によると想定し、その機構の解析を進めている。とくに、2番と6番染色体のサイズの変化が著しいが、2番染色体の変化は、r-DNA領域における高頻度の組換えによること、6番染色体からは約2kbの反復配列RPSを検出し、その塩基配列を決定した。本年度は、この2kbの反復配列RPSおよび類似配列の染色体上での分布について、とくにセントロメア領域との関連の可能性について研究を行った。 1。RPSの塩基配列構造がひとや分裂酵母などのセントロメア配列に類似しているので、セントロメアに関連があるか検証するために、対数期の細胞についてfluorescent in situ hibridization(FISH)と抗チュウブリン抗体を用いたスピンドル染色の二重染色を行なった。その結果、SPBの分裂以前にはRPSは核中に分散し、SPBが複製分裂し、その間にスピンドルが発達すると、RPSはSPBの近傍に位置して観察された。このことから、RPSはセントロメアないしはその近くに局在していることが明らかにされた。 2。6番染色体におけるRPS反復配列の局在。C.albicans FC18株の6番染色体を切り出し、種々の制限酵素による切断片の電気泳動とRPSによるhybridizationによってRPSの位置を確定することを行なった。まず、RPSは、SfiIで切断された760kbと510kbの二つのテロメアを含む大きな断片に挟まれた間にかたまってあることが分かり、ついで、RPSのなかに一個の切断部位をもつSmaIで、RPS集団の境界域をふくむ130と6.1kbの断片を得て、それらの順序を決定した。
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