研究課題/領域番号 |
05670255
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
余 明順 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (70093482)
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研究分担者 |
山本 耕一郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30158274)
本田 武司 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029808)
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キーワード | ナグビブリオ / 下痢原因毒素 / エルトールヘモリシン / コレラ毒素 / 耐熱性溶血毒 / プロテアーゼ |
研究概要 |
Vibrio cholerae non-01(ナグビブリオ)は1968年にスーダンで600人の患者と100人以上の死者を出して注目を浴びて以来、本菌による食中毒事例、散発事例が引き続き報告されていたが、1992年10月以降、インド、バングラデシュを中心に大流行(non-01のうち0 139による)が起こり、死者が続出し、新たな脅威を呼び起こした。本菌による腸管感染の症状を見てみると、今回の大流行で見られるようなコレラと区別し難い激しい水様性下痢が見られる一方、コレラとは異なり粘血便、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱を伴う例も多く、その臨床症状は極めて多様である。このような多様な病態を反映するかのように、ナグビブリオは多様な病原因子を産生することが知られ、現在までに明らかになっているものだけでも、コレラ毒素様毒素、エルトールコレラ溶血毒類似毒素、ETECの産生するST類似毒素(NAG-ST)、陽炎ビブリオ耐熱性溶血毒類似毒素(NAG-rTDH)、コレラ菌の産生するHemaggulutinin/プロテアーゼ類似プロテアーゼ(NAG-HA/P)などがある。ナグビブリオ感染症におけるこれら多種の病原因子の病態への関与の解明は長年の課題であるが未だ十分解明されていない。われわれはこれまで行われてきた多くの研究が、単一の病原因子で病態を説明しようとする観点からのものである点を反省し、複数の病原因子の相互作用の可能性を考えることによって、病態解明の糸口がつかめるのではないかと考えて、本研究を遂行している。 本年度は、CT様毒素、エルトール型溶血毒、NAG-rTDH、NAG-HA/Pの精製を既に終了した。各病原因子の遺伝子を検出するための手段として、Enzyme-labeled oligonucleotide probeを作成した。これらのうち、CT様毒素、NAG-ST,エルトール型溶血毒、NAG-rTDHに対して作成したものについては、感度と特異性について検討済みである。このように、多種病原因子の複合作用を解析するための必要な材料をそろえる事ができた。これらを用いて動物、細胞、細胞膜成分などでの多種病原因子の複合作用を解析する事が次年度の目標である。
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