研究概要 |
ボツリヌスC型毒素に対するレセプターを同定するために,レセプターを発現していると予想されているNG108細胞,またC型毒素の標的分子は存在するがレセプターの発現はほとんど認められないとされているPC12細胞からそれぞれ全RNAを抽出し,mRNA画分を調整しZAP-cDNA合成,クローニングキットを用いてcDNAライブラリーを得た。これらのライブラリーの内,レセプター蛋白を発現しているクローンを選別するためにC型毒素蛋白,抗C型毒素抗体および酵素標識抗体を用いてイムノスクリーニングを行った。数株の陽性クローンが得られたが,その効率は極めて低いものであった。得られたクローンの塩基配列を一部決定したところ,既に報告されている標的分子やレセプターとは異なる塩基配列であることから,C型毒素蛋白全体を用いた場合は非特異的陽性クローンを選別してしまう危険性が大きいと思われる。このため,現在はレセプターに対するC型毒素の結合部位(重鎖の3′-末端側約500bp)を,次の3つのコンポーネントに分けて解析中である,つまりガングリオシド結合部位,蛋白性レセプター結合部位,前2者を含むコンポーネント,これらの部位を発現ベクターに再クローニングし,それぞれの結合蛋白を大量に調整しスクリーニングに用いることによって非特異的結合を極力抑える試みを検討しているところである。
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