研究概要 |
これまでにNephritis strain-associated Streptkinase(NSA-SKase)特異的エピトープは、この分子のinternal領域(164-236残基内)に存在することを、単クーロン抗体(RU-1mAb)を用いて明らかにして来た。Mimotope Designkitを用いたピンテクノロジーによりSkase分子の164残基からアミノ酸配列を1残基づつずらして、各10残基毎にペプチドを合成し、RU-1mAbと反応させた結果176-185残基(TPSLKERYHL),177-186残基(PSLKERYHLT)のペプチドが強く反応した。従ってRU-1mAbと反応するNSA-SKase分子上のエピトープは177から185残基の9残(PSLKERYHL)であることが明らかにされた。ついでこの反応領域における最小有効構造単位を明らかにするための検討が行われた結果、PSLKがRU-mAbと反応する最小有効構造単位と思われたが、PSLKにさらにN-端側に存在するFTを導入したFTPSLKはPSLKよりも強く反応し、C-端領域のYHLにさらにTを導入したYHLTでもPU-1mAbと強く反応した。さらにPSLKERYHLのアミノ酸残基を1つずつアラニンに置換し、いかなるアミノ酸残基がRU-1mAbとの反応に重要であるか否かを検討した。いずれのアミノ酸残基をAに置換することによりRU-1mAbとの反応性の低下が観察されたが、特にEまたはRをAに置換することによりRU-1mAbとの反応は消失した。一方、NSA-SKaseとC-SKase分子に共通に反応する単クローン抗体(N-59mAb)が認識するSKase分子上のエピトープの解析が同様な方法で行われた。その結果N-59mAbはSKase分子のC-端側の323-332残基(FRDLYDPRDK)と324-333残基(RDLYDPRDK)と反応していることを示している。そしてN-59mAbと反応するエピトープとしての最小有効構造単位はRDLYDPRDの8残基からなるペプチドであることを明らかにした。SKase分子上のプラスミノーゲン(Plg)活性化におけるactive siteの検討についてはN-末端より10残基づつのペプチドを145残基までピン上で合成し、Plgと基質を作用させ、Plgの活性化を基質の発色で測定したが、internal領域部を除いたN-末端側並びにC-末端側の合成ペプチドにはPlg活性化作用が認められなかった。一方SKaseを70%蟻酸と反応させ、得られたペプチドフラグメントのプラスミノーゲン活性化につき検討すると、分子量30kDaを示すペプチドフラグメントにプラスミノーゲン活性化作用のあることが明らかになり、このフラグメントのN-末端アミノ酸配列の検討が現在行われている。
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