エンドトキシン投与によるマウス胸腺細胞の細胞死がアポトージスによって引き起こされるかどうか検討した。4週令のBALB/cマウスに大腸菌0111由来エンドトキシンを100mg腹腔内に投与し、各時期に胸腺を摘出し、細胞浮遊液調製後、DNAの抽出を行った。fragmented DNAは、遠心によって高分子のDNAから分離され、アガロースゲル電気泳動で解析された。【.encircled1.】10mug以上のエンドトキシン投与でアポトージスが誘導され、投与量に依存して増大した。【.encircled2.】アポトージスは、エンドトキシン投与後、6時間目から検出され、18時間目に最も強く、4日目には消退した。【.encircled3.】PI染色による裸核当たりのDNA量は、エンドトキシン投与マウスに明らかに少ないものが検出された。【.encircled4.】エンドトキシン100mugを投与したマウスでは、胸腺のみに明らかなfragmented DNAが検出できたが、骨髄、脾臓、リンパ節では検出できなかった。【.encircled5.】副腎を摘出したマウスにエンドトキシンを投与したが、副腎摘出マウスでは、胸腺でのアポトージスが認められなかった。【.encircled6.】マウスより胸腺を摘出し、胸腺細胞の細胞浮遊液を作り、in vitroでエンドトキシンを作用させたが、アポトージスは全く認められなかった。【.encircled7.】エンドトキシン投与と同時に抗TNF抗体を投与したが、抗TNF抗体処理群ではアポトージスは誘導されたが、その程度は抗体非投与群に比較して弱かった。エンドトキシンによるマウス胸腺細胞の破壊が、アポトージスによって引き起こされることを明らかにした。この胸腺におけるアポトージスでは副腎皮質ホルモンが主要な役割を果たしていること、さらにTNFも部分的に関与していることも明らかにした。
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