研究課題/領域番号 |
05670271
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
櫻井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
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研究分担者 |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (40164462)
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キーワード | ウェルシュ菌 / ガス壊疽 / alpha毒素 / ホスフォリパーゼC / GTP-結合タンパク質 / ホスファチジル4,5-二リン酸 / ホスファチジン酸 / プロテインキナーゼC |
研究概要 |
ウエルシュ菌によるガス壊疽の起病因子として知られているalpha毒素は、溶血、致死、壊死作用、また、摘出腸管、血管収縮作用、さらに、酵素活性としてホスフォリパーゼC活性を示し、alpha毒素の作用の本体は、この酵素活性であると考えられてきた。平成5年度の研究において、alpha毒素の作用機構解明のアプローチに組織より取り扱いの容易なウサギ赤血球を用い、alpha毒素の溶血機構の研究を行い、この溶血は、本毒素のホスフォリパーゼC作用による膜の破壊ではなく、本毒素によって経時的に二相性で引き起こされる赤血球膜におけるホスファチジン酸合成と関連する機構によることを明らかにした。さらに、この合成は、alpha毒素による血球膜GTP-結合タンパク質の活性化を介する内因性ホスフォリパーゼCの亢進により、ホスファチジル4,5-二リン酸から生成したジアシルグリセロールがリン酸化されるホスファチジン酸合成経路、次に、この経路で生成したジアシルグリセロールによるプロテインキナーゼCの活性化を介するホスフォリパーゼCの不活化によって急激に抑制された後、ホスフォリパーゼDが活性化され、生成したホスファチジン酸の脱リン酸化によるジアシルグリセロールがリン酸化されるホスファチジン酸合成経路の2種類の代謝系に支配されていることを明らかにした。次に、alpha毒素によって活性化されるホスファチジン酸合成系を亢進する薬物、GTPgammaSは、毒素による溶血作用を亢進すること、さらに、その合成系を阻止する薬物、GDPbetaS、プロプラノロール(ホスファチジン酸ホスファターゼ阻害剤)は、その作用を阻止することから、alpha毒素の溶血作用発現には、このリン脂質代謝系の亢進が重要なステップであるという結論に達した。そこで、この研究によって、alpha毒素作用と密接に関連する赤血球の細胞情報伝達系を介するリン脂質代謝系が見いだされたと考える。
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