EBウイルスのBZLF1遺伝子にコードされるZタンパクはそのアミノ酸配列において細胞性転写因子c-Fosと非常にホモロジーが高くc-fos遺伝子がウイルスに取りこまれたものと考えられる。しかしながらc-fos遺伝子が細胞性のプロモーターを活性化するのに対してZタンパクは細胞性のプロモーターを活性化することができず、EBウイルスのいくつかのプロモーターを選択的に活性化する。我々はZタンパクとc-Fosタンパクとのキメラタンパクを作成して解析した結果、Zタンパクの100-119アミノ酸領域にこのプロモーター特異性を決定する部位が存在することを見いだした。おそらくc-fos遺伝子がウイルスに取りこまれ進化の過程でウイルスの増殖に都合がよいように変異して行ったものと考えられる。
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