研究概要 |
ヒト免疫不全症ウイルス1型(HIV-1)、HIV-2、ヒト白血病ウイルスI型(HILV-1)、ヒトスプューマレトロウイルス(HSRV)のトランス活性化遺伝子に関する互換性の研究を行ない以下の結果を得た。主な研究はHIV-1のtat、HTLV-Iのtax、およびHSRVのbel1を対象としたが、それぞれにつきバクテリアのCAT遺伝子をマーカーとしてLTR-CATを作製し実験を行なった。異なるウイルス間(オンコウイルス,レンチウイルス,スピューマウイルス)では互換性が若千認められたがそれほど強いものではなかった。これに対しHIV-1はHIV-2などの他のレンチウイルスを完全に活性化する能力があった。HIV-2はHIV-1を完全には活性化できない。HIVのreV,HTLVのrexに関してもバクテリアのCAT遺伝子を利用した系を開発し、上と同様の実験を行なった。HSRVにはrevやrexに対応する活性は発見できなかった。HIV-1はHIV-2を完全に活性化したがHIV-2やHTLV-Iはほとんど活性化できなかった。この系でもHIV-1は他のウイルスと明確に区別できた。これらの結果から、HIV-1はHIV-2やSIV(サル免疫不全症ウイルス)、HTLVからかなり離れたウイルスであり独自の調節遺伝子群を持つことが明らかになった。しかし反応機構そのものはウイルス間で差がないと考えられた。
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