研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)の遺伝子がクローニングされたことにより、ウイルスゲノムの構造解析や分子疫学などには大きな進展がみられたが、このウイルスの生物学的特性については不明な点が多い。チンパンジー感染実験以外に生物学的アッセイ法の無いことが大きな原因である。我々は先にヒトT細胞株Molt.4MaやHPBMa細胞がHCVに対して感受性を持つことを報告した。本研究ではチンパンジー感染価が既に測定されているHCVの代表的な接種材料について培養細胞における感染価を測定しin vivoとin vitroの感染価を比較した。HCV接種材料H,no.6,K,F,no.4の培養細胞での感染価は10^5,10^<2.5>,10^<2.5>,10^1,<10^1/mlであった。チンパンジーを用いて測定されたこれらの材料のinvivo感染価は各々、10^<6.5>,10^<5.5>,〓10^4,10^0,<10^2/mlと報告されており両者に相関が認められた。このようにこの系はinvivo感染性の予測に有用であり、またウイルス中和のアッセイ系としても将来確立できる可能性を持つ。
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