研究概要 |
CD21(CR2:補体受容体2)はCD19、CD81分子と会合し、B細胞抗原受容体の補助受容体として機能している。また、補体受容体,EBウィルスの受容体としても作用している。ヒトB細胞あるいはBリンフォーマ細胞を抗-CD21抗体で刺激するとイノシトールリン脂質代謝の亢進、チロシンリン酸化が誘導されることを報告してきた。今回の実験では、CD21と結合しているキナーゼおよびリン酸化される基質を明らかにすることを目的とした。Raji,Daudiリンフォーマ細胞をジギトニンで可溶化し、抗-CD21抗体で免疫沈降し、in vitroでリン酸化反応を行い、オートラジオグラフィー法を行うことにより、CD-21複合体中には1ynを含む複数の分子(p85,p92)が存在していることが明らかとなった。しかし、可溶化剤としてNP-40を用いるとp85,p95はCD21沈降物中には認められなかった。フォスフアミノ酸分析によりp85はセリン、スレオニン残基でリン酸化されていることが示された。すなわち、CD21複合体にはチロシンキナーゼと共に未知のセリン、スレオニンタイプのキナーゼが存在していることを示唆している。ヒト末梢血リンパ球、へん桃リンパ球を同様にジギトニンで可溶化し、抗-CD21抗体で免疫沈降すると、p85,p95がCD21と共沈されてきた。へん桃リンパ球をEBウィルスで刺激するとCD21に結合しているp85リン酸化の亢進が認めれ、EB感染におけるp85分子の重要性が示唆された。
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