1.トランスジェニックマウスの作製:申請者が単離したヒトCD7染色体遺伝子より遺伝子導入マウス5系を作製したが、発現が認められたのはそのうち一系のみで、非常に弱かった。そこで新たにエクソンの5′上流側が15kb、3′下流側を8kb含むconstructを作製し、新たに2系の遺伝子導入マウスを得たが、何れも発現を観察できなかった。2.トランスフェクタントの作製及び抗体の作製:マウスCD7cDNAをラット細胞3Y1に導入したトランスフェクタントを作製し、ラットに免疫したが、マウス胸腺細胞にのみ反応する抗血清は得られなかった。また本抗原の細胞外ドメイン部分のアミノ酸配列のうち21アミノ酸の合成ペプチドを作製し、家兎に免疫を行った結果、ELISAで20万倍希釈まで反応性を示す抗血清を得た。しかしこの抗血清でマウス胸腺細胞を染色することは出来なかった。そこでエクソンを全て含む染色体遺伝子のトランスフェクタントの作製を行っている。さらにヒスチジンTagとの融合蛋白を大腸菌で作製しており、これらを抗原として抗体作製を実施する予定である。3.マウス染色体遺伝子の単離:cDNAをプローブとして、染色体遺伝子ライブラリーより4個の陽性クローンを得た。これらクローンの制限酵素地図の比較より、それぞれのクローンは部分的に共通な部分を持ち、これらを結合すると全長27kbとなった。また塩基配列の検索の結果、本遺伝子は4つのエクソンから構成され、それぞれリーダー、細胞外、膜貫通、細胞内の分子構造に対応しており、ヒトCD7を極めて類似していた。またエクソンの染色体遺伝子上の分布は、第2-4については明らかとなったが、現在第1エクソンについて検索中である。また全てのエクソンを含む染色体遺伝子が得られたことから、本遺伝子を破壊し、発現を阻止したマウスの作製を始める予定である。
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