研究課題/領域番号 |
05670335
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
森岡 由起子 山形大学, 医学部, 講師 (70113983)
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研究分担者 |
生地 新 山形大学, 医学部, 講師 (20185177)
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キーワード | 思春期 / 中学生 / 精神保健 / ライフ・イベント / ストレス・コーピング / 両親の養育態度 / 神経症 / 因子分析 |
研究概要 |
平成5年11月に、山形市内の公立中学校の一般生徒500名に対して自己評価式精神症状尺度Self Rating Test(SRT)、ライフイベント一覧表(上林ら)、両親の養育態度の評価尺度であるParental Bonding Instrument(PBI)、ストレス・コーピング評価票を含むアンケート調査を施行し、444名の有効回答を得た。また、平成5年4月から12月にかけて山形大学附属病院精神科を受診した中学生の神経症患者(神経症性の不登校、摂食障害を含む)49名に、同様の調査を施行し、38名の有効回答を得た。 一般中学生のSRTとライフイベント、PBI、ストレス・コーピングの関連を検討した。その結果、自覚的な精神症状の尺度であるSRT総得点とライフイベントの経験数との間には、相関係数0.3程度の弱いが有意な相関があり、内容別では家庭外の人間関係上のストレスとなる出来事との相関が比較的強かった。SRT総得点とPBIの各得点(父親および母親のcareおよびoverprotectionについての得点)との間には、相関係数0.4程度の有意な相関が認められた。SRT総得点と因子分析の結果抽出されたストレス・コーピングの下位尺度との間の相関をみたところ、内省的・内面的なストレス対処法との間で相関係数0.32の、回避的なストレス対処法との間で相関係数0.42の有意な相関が認められた。しかし、PBIとライフイベント、ストレス・コーピングとライフイベント、PBIとストレス・コーピングの間には、ほとんど相関は認められなかった。中学生の精神的な自覚症状には、ライフイベント、両親の養育態度、ストレスコーピングなどが一定の関連を持っている事が明らかになった。そして、各々の関連は、比較的独立したものである可能性が示された。 さらに、一般中学生と精神科を受診した神経症の中学生との間の差についても検討した。神経症の中学生のSRT総得点は一般中学生の得点の約2倍であり、家庭外の人間関係上のストレスとなる出来事の数も神経症の中学生において有意に多かった。しかし、PBIとストレス・コーピングについては、有意な差は認められなかった。
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