研究課題/領域番号 |
05670337
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐田 文宏 東京大学, 医学部(医), 助手 (90187154)
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研究分担者 |
谷川 武 東京大学, 医学部(医), 助手 (80227214)
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キーワード | 免疫学的指標 / 生物学的モニタリング / 鉛 / 有機溶剤 / リンパ球サブセット / T細胞 / ナチュラル・キラー細胞 / 免疫グロブリン |
研究概要 |
本年度は、主として鉛作業者、有機溶剤作業者の免疫学的影響を明らかにするために、リンパ球サブセットを測定し、鉛曝露および混合有機溶剤曝露のT細胞分画およびナチュラルキラー(NK)細胞分画に及ぼす影響を調べた。 1.毎週キレート剤CaEDTAの点滴静注を受けている2名の男子鉛作業者(61歳および53歳、開始時の血中鉛濃度81および68μg/dl)の点滴前後の血中鉛、免疫学的およびヘム代謝指標等の変動を調べたところ、血中鉛(2名とも)、血漿亜鉛、デルタアミノレブリン酸脱水酵素活性、血色素、ヘマトクリット値、ピリミジン 5'-ヌクレオチダーゼ、免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM、IgD)、CD8+およびCD16-CD57+リンパ球数(以上1名のみ)に有意差が認められ、点滴静注により抗体産生能等の免疫機能上昇が示唆された。 2.化学工場にてステアリン酸鉛の製造に従事している男子鉛作業者71名(平均年齢48歳、平均血中鉛濃度19μg/dl)ではCD3+CD45RA+Tリンパ球数と血中鉛濃度との間に有意な正相関が認められ、鉛曝露によるサプレッサー・インデューサーT細胞分画への影響が示唆された。 3.グラビア印刷工場に勤務する男子混合有機溶剤作業者16名(平均年齢37歳)の曝露時は非曝露時に比べ、CD16+CD57-、CD16+CD57+、CD16-CD57+NK細胞数およびCD8+Tリンパ球数の有意な減少とCD19+Bリンパ球数の有意な増加が認められ、NK細胞分画が有機溶剤曝露の短期影響を受けやすいことが示唆された。
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