都市の広域稠密化の進行による環境変化と住民の健康水準の将来予測モデルの開発 都市環境の変化が住民の行動様式ならびに健康水準の変化に及ぼす影響を明らかにし、将来予測を行うためのモデルを、以下の方法で開発した。(1)まず、東京圏における地域別の約600の諸指標を収集し、重みづけ相関分析法などにより指標間の関連性を検討し、住民の健康と都市環境の水準の相互の関係を効率的に解析することが可能な指標を、カテゴリー別に選択した。その結果、約30の健康諸指標、約110の都市環境水準指標に分けられ、後者はさらに、人口指標、居住環境指標、インフラストラクチャー指標、教育指標、保健医療サービス指標、労働環境指標、財政指標、健康増進活動指標地域の8つのカテゴリーに分類された。(2)健康諸指標、都市環境諸指標のカテゴリーごとに、それぞれ複数の側面を解析モデル上で評価するために、重みづけ因子分析法により、固有値1以上の因子をそれぞれ2〜5抽出した。抽出した因子の因子得点を、健康水準ならびに都市環境水準の諸側面を表す変数として、都市環境と住民の健康水準の関連性の解析モデルの変数とした。健康諸指標ならびに抽出された因子による健康水準変数と、都市環境諸指標から得られた諸変数との間の関連性の有無が明らかになった。(3)健康水準の諸変数と都市環境水準の諸変数の関連性を、重みづけ段階的選択法による重回帰分析、重みづけ相関分析法の結果に基づき検討し、都市環境水準が明らかにされた場合に健康水準を予測するモデルを作成した。健康水準の実測値とモデルに基づく推計値を比較した結果、モデルの適合性が高いことが示された。(4)大都市圏における住民のライフスタイル、保健行動に関する地域調査の結果に基づき、地域の健康水準指標、健康増進活動指標、居住環境指標、財政指標を作成し、健康増進活動指標を含めた健康水準予測モデルの構築の基礎資料を作成できた。
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