本邦の胃癌調整死亡率の地域ブロック別推移は、男女共に北陸ブロックに高く、南九州ブロックに低くなっている。東日本に高く、西日本に低い東高西低の傾向にあった。西日本では、近畿IIブロックが高く、全ブロックで年次ごとに低下し、各ブロック間格差は縮小していた。全ブロックで男性が女性より高い調整死亡率を示し、年次別の減少は男性により大きかった。ブロック別の順位に20年間に特に大きな変動は認められなかった。 食品群別摂取量は、北陸ブロックが他のブロックに比べ米・麦、淡色野菜、漬物、アルコール性飲料、魚介類とその加工品の摂取量が多かった。日本人の結腸癌と直腸癌の比が1976年頃より1.0を越えて上昇を続けるようになり、米消費量の減退と動物食品摂取量の増加は、大腸癌死亡率に大きな変化をもたらした要因と思われる。穀類消費量の変化が食物繊維の摂取量に影響しており、更に他の消化器癌の死亡率への変化の検討が望まれる。
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