研究課題/領域番号 |
05670357
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
岸 玲子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80112449)
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研究分担者 |
佐藤 剛 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (00162446)
松本 博之 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (80106476)
三宅 浩次 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045363)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 水銀鉱山 / 退職者 / 神経運動機能 / 認知機能 / 協調機能 / MRI CT / 振戦 / 誘発電位 / Adverse effects of exposure |
研究概要 |
1.ADL(日常生活活動性)の評価とあわせてフィールドで高齢者に適用できる標準的な神経機能テストを開発した。1)「日常生活活動性」2)高齢者の運動機能・感覚・認知機能として以下の検査を組み合わせた。A運動機能:(1)運動正確度(南カリフォルニア感覚統合検査のMotor Accuracy Test (2)協調度は AimingとRecord Tracing (3)手腕作業と指先器用は 労働省職業適性検査のペッグボード (4)反応時間、(5)色名呼称の時間と間違い数 (6)タッピング (7)握力 (8)閉眼片足立ち B認知機能:(1)視覚・空間認識については高齢者用のコース立方体・デザインテスト、(2)短期記銘力検査(WAISの数唱)(3)痴呆のスクリニング(長谷川式) C固有感覚:上下肢の振動覚を測定した。北海道の水銀鉱山退職者の中で長年採掘作業に従事し過去に大量の水銀蒸気の暴露された労働者を対象に中毒後遺症の有無について検討した。その結果、水銀鉱山退職者の中でも繰り返し急性中毒にかかったり治療の既往のあった者や暴露歴の長い者、比較的最近まで暴露していた者の成績が劣り、神経機能の中では協調機能に関する成績が特に悪いことがわかった。しかし10数名は既に死亡が確認された。 2.北見日赤病院の協力を得て、内科学的検診とMRIおよびCT検査を実施した。さらに機器を用いて振戦、重心動揺度、視覚・聴覚誘発電位も測定した。内科学的にみると、腎機能はかって水銀暴露濃度が高かった退職者でB_2microglobulinの異常が認められた。振戦は就業時より明らかに改善されていた。聴覚誘発電位は遅れが認められたが、水銀暴露より削岩工具による高音部障害のためと考えられた。MRIとCT上の検査は今後対照群との間で比較検討する必要があるが、現在までの結果をまとめると暴露濃度が高く、暴露期間が長かった削岩従事者で脳の萎縮が多く認められた。MRI上ではT1、T2強調下で脳の梗塞所見が認められたほかは特徴的な異常所見は認めなかった。
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