高齢化社会の到来に伴い、骨粗鬆症の予防が重要な課題となっている。骨粗鬆症を予防するには骨塩量をできる限り抑えることが重要である。そこで、骨塩量に対してどのような食生活要因が関わっているかを検討するために、和歌山県下の一漁村において40〜79歳の全住民を対象に「健康と生活習慣」調査を実施した。住民の中から各年代別に男女50人ずつ、計400人を選びDXA法による腰椎(L2-L4)骨密度を測定した。次いで、骨密度測定者の中から各年代で男女20人ずつ、計160人を無作為に抽出し3日間食事記録法による栄養調査を実施した。但し、栄養調査対象に選ばれた160人のうち、1人が栄養調査実施直前に遠洋航海に出かけることになり、栄養調査対象は最終的に159人になった。 本年度はこの栄養調査を行った159人について、骨塩量に対してどのような食事要因が影響しているかを検討するために、骨塩量と栄養調査データとをリンケージさせた。そして、骨塩量を目的変数、食品群別摂取量を説明変数とし、変数増減法による重回帰分析を行った。その結果、男では油脂類、乳、乳製品、女では魚介類、肉類、乳・乳製品(いずれも正の相関)が採択された。このことから、乳・乳製品や魚介類といったカルシウムを多く含む食品を多く摂取することが骨塩量の増加をもたらすことが示唆された。また、油脂類や肉類の摂取も骨塩量とに関連がみられたことから、脂肪やたん白質といった栄養素の適度の摂取がカルシウム吸収に関連をもつ可能性を示唆する成績が得られた。
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