研究概要 |
1)職業性手根管症候群の有病率と病像:職業性手根管症候群の把握を目的とした,特定の地域の給食調理員全員(200人)に対する健康診断を実施した。手根管症候群の診断の黄金律としては,世界的な基準である神経導電速度を用いて行った結果,当疾患の有病率は17.3%であった(重症者は6.4%)。なお、有病率は職場により3倍近い変動が認められた。病像としては,手根管単独型,頸肩腕障害合併型,など複数の病型が存在することが明かとなった。 2)危険要因の定量的把握:危険要因の分析について,Rate Ratioを指標として検討した結果,配缶作業(10.0),食器洗浄時間(9.1),不自然な手首の曲げ(7.1),給食数(5.4),手首の繰り返し作業(4.2),経験年数(3.8),材料切断(3.7),重量物取扱(3.6)が主な要因として挙げられた。また,年齢を対応させた症例-対照研究,およびマリティプル・ロジスティック・リグレッション分析による分析でも同様の結果が得られた。
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