研究概要 |
職業性手根管症候群のスクリーニングと健康管理システムの開発を行うために、1)症候群の発生状況の把握,2)発生要因の解明,3)スクリーニング方法の評価,4)健康管理のための危険度評価プログラムの健康調査・研究を実施した。 その結果,1)職業性手根管症候群の発生率は4.5%であることが認められた(給食調理員)。2)同疾患の危険要因として,手首の繰り返し作業,手首の不自然な位置をとる作業,手首への加圧,重量物の取扱いなどが挙げられることが明らかとなった(症例-対照研究,有症率比分析,多変量解析)。3)スクリーニング検査として最も有効なものは,自覚症状チェックリストおよび神経伝導速度であることが認められた。両者の感度・特異度は,それぞれ90%・88%,100%・87%であった。ただし,効率の点から見ると,前者の費用・効果比(一症例発見当り費用)は2500円と,後者の37400円に比べて優れていることが認められた。4)健康危険度評価は,16項目の職業性要因により効果的に実施できる可能性が認められた(多重ロジスティック分析)。その正判別率は,99%と高率であった。
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