研究概要 |
本年度(平成6年度)は本科研費補助の最終年度であるが、研究は当初の計画通りほぼ遂行することができた。本年度の研究実績の概略については、以下の通りである。 就業している中高年齢者を含む1,120名の勤務者に、生活時間調査、朝型・夜型質問紙、A型行動パターン調査等を実施し、主として概日リズムの位相差の観点から加齢影響にともなう個人特性や睡眠・覚醒習慣の変化を検討した。その主要な結果は、次の通りであった。 1)平日の就寝時刻は男女とも加齢に伴って早くなっていたが、起床時刻については年齢差は少なかった。 2)平日の平均睡眠時間は加齢に伴って延長していたが、休日の平均睡眠時間は逆に、高齢者ほど短縮し、かつ休日と平日の平均睡眠時間の差は少なかった。 3)朝型・夜型スコアーの分布は、男女とも高齢者ほど朝型寄りに変化していた。朝型と判定された者の割合は、19歳以下で6.9%、20才代で16.1%、30才代で27.0%、40才代で38.4%、50才代で63.9%、60才代で65.4%で、加齢に伴って急増したが、逆に夜型は急減した。 4)同じ年齢層でも夜型より中間型、中間型より朝型で平日就寝時刻が早く、特に高齢者の朝型で顕著であった。睡眠時間についても同様に、夜型より中間型、中間型より朝型長くなる傾向は各年齢層とも同じあったが、その差は若年者で大きかった。 5)加齢に伴って夜間覚醒する者の割合は増大したが、高齢者ほど、また夜型より朝型の者ほど睡眠時間に対する充足感もよく、消灯時刻や睡眠時間の変動性も少なく、熟眠感も良好であった。 6)A型行動パターンを示す者の平均睡眠時間はやや短縮していたが、年齢差はみられなかった。 以上の成績から、加齢に伴って夜型から朝型に変化し、概日リズムにも位相の前進が引き起こされているものと推測された。
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