個人識別や親子鑑定に用いる血清型を容易に行なえるようにするために、混合モノクローナル抗体を用いる同時検出法を試みた。血清蛋白質をマウスに免疫し、常法によりハイブリドーマを作製し、限界〓釈法によりクローニングを行った。そして抗トランスフェリン抗体と抗α_1-アンチトリプシン抗体の二種類のモノクローナル抗体を得た。我々が以前に作った抗オロソムコイド抗体と合わせて三種類のモノクローナル抗体を混合して、血清を等電点電気泳動後、転写されたメンブランを用いて、バンドパターンを検討した。これによりポリクローナル抗体を用いた時と同様なパターンが得られた。しかし、モノクローナル抗体はポリクローナル抗体と異なり、コンタミ抗体の心配がないことおよびポリクローナル抗体にしばしば存在する他の抗原がないので、よりすぐれた方法であることが判明した。なおモノクローナル抗体には以下のような欠点もあった。つまり変異型の場合検出できるかどうか不安のあることおよび古いサンプルを用いるとポリクローナル抗体を用いた場合より、副バンドが検出されやすい傾向がみられたことである。
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