研究概要 |
除草剤ジクワットの毒性発現のメカニズムについてパラコートの場合と比較して検討を行った。パラコート、ジクワットの最大許容量を混入した食餌を用いてラットを2週間飼育した。 通常のESRならびに今年度申請したラピッドスキャンによるESR法にて、ラットの血液、尿、組織(肝・腎・肺・心・脾・筋肉・精巣)中のパラコート、ジクワット含有量をラジカル含量として定量した。また、血清のビタミンCラジカルもESR法にて定量した。これらと併せてラット血清成分の変化を生化学的に調べた。パラコート、ジクワットは生体内の酸化還元酵素により、ラジカルとなり、そのラジカルが消去される時に生じるO_2ラジカルは毒性の一因と言われている。これらの除草剤の代謝課程を調べるために、ラット血清中の抗酸化剤、ビタミンCとEを測定した。また、生体に何らかの障害が生じたとき変化する急性期蛋白質であるα-システィンプロテアーゼインヒビター(α-CPI)及びα_1-プロテアーゼインヒビター(α_1PI)についても定量した。これらの測定で以下の知見が得られた。 (1)組織中パラコート濃度は、肺>腎>その他の臓器の順であったが、ジクワット濃度は脾>腎>その他の順となっていて、両者に大きな違いがみられた。 (2)パラコート中毒もジクワット中毒も共にビタミンCラジカルは正常の1.6倍であった。 (3)ビタミンC,E量はパラコート中毒、ジクワット中毒共に正常と大差がなかった。 (4)α-CPIはパラコート中毒が、正常の5培、ジクワット中毒が9倍と著しく増加していた。 (5)α_1-PIはパラコート中毒、ジクワット中毒共に正常の0.9倍減少していた。
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