研究課題/領域番号 |
05670399
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
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研究分担者 |
船尾 忠孝 北里大学, 医学部, 名誉教授 (50050307)
栗原 克由 北里大学, 医学部, 教授 (90138123)
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キーワード | 脳死 / 小脳 / 小脳顆粒層 / 自己融解 / 二次元画像解析 / 三次元画像解析 |
研究概要 |
昨年に引続き小脳顆粒層の自己融解(GLA)について画像解析装置を用いて検討した。 1.対照例について:脳に著変のない急死例の小脳・脳幹部を資料として三次元画像解析の実用性を高めるべく固定条件やトレース画像の入力法などについて種々検討した。その結果、固定法としては3日間の前固定の後に資料を横断スライスし、7日間の後固定を行うのが最良であり、またトレース画像の自動入力にはNiss1、LFB、Azanの各染色より、HE染色もしくはHEとLFBの重染色を行うのが効果的と思われた。 2.脳死例について:脳死例4例の小脳・脳幹部を用いた。心停止後の死後経過時間(A時間)はいずれも12時間前後であるが、脳死判定後の経過時間(B時間)は1日半〜4日の範囲であった。脳死例のGLAを昨年同様、小顆粒細胞と赤血球の両方とも一様に崩壊しているタイプ((1))、小顆粒細胞が巣状に残存もしくは正常赤血球が残存しているタイプ((2)〜(4))の4種に分類した。その結果、(1)タイプは死後変化(固定中のア-ティファクトなど)でも生じ得るが、(2)〜(4)タイプは死後変化では生じ難い所見と思われた。また(1)〜(4)タイプの各出現程度を小脳の表層部と深層部に分けて検索した。その結果、(1)タイプは表層部より深層部に、またB時間の短いものより長いものにおいて顕著であったが、(2)〜(4)タイプは逆に深層部より表層部に、またB時間の長いものより短いものにおいて顕著であった。以上より、脳死状態にあった時間の推定指標としては死後変化や固定中にも生じ得る(1)タイプより、(2)〜(4)タイプの表層部の所見が有効と思われた。さらに小脳山頂部の上小脳動脈を含む部分(約1cm四方角)の連続標本を用いて三次元画像解析を行った。その結果、血栓を有する小動脈の末梢側(より深層部)に(1)タイプのGLAが認められ、このようなGLAは血流の途絶が原因であろうと思われた。
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