研究概要 |
プラスミノーゲン(PLG)変異型の検索を行い,PLG活性が低値であった変異プラスミノーゲンPLG M^<Osaka>の検体の白血球よりDNAを抽出し,解析を行った。PLG遺伝子をコードする19個の各エクソンに対応するプライマーを合成し,抽出した高分子DNAを鋳型にPCR法でそれぞれのエクソンを増幅させた後,ホルムアミド存在下で95℃,5分の熱変性後,氷中の急冷により一本鎖DNAの高次構造を形成させ,次に6〜15%の非変性ポリアクリルアミドゲルを用いて10%グリセリン添加および無添加,4℃および室温での諸条件下での電気泳動を行い,バンドのパターンの検出を銀染色法により行った(銀染色PCR-SSCP法)。次に,上記のPCR-SSCP法において高次構造の変異が明らかであったエクソン17のPCR産物についてシークエンスを行った。変異のあったエクソン17に対応するプライマーをビオチン標識しPCRを行い,その産物を直接PCRサイクルシークエンス反応を行い,7%ポリアクリルアミドゲル電気泳動後,塩基配列ラダーを化学発光による方法で検出し検討を行い,Asp-676→Asn(GAC→AAC)の点突然変異を見いだした。これはIchinoseらのTypeI(Ala-601→Thr),TypeII(Val-355→phe)およびAzumaらのSer-572→Cysと異なるものであり,PLG M^<Osaka>は新たな分子異常のプラスミノーゲンであることが明らかとなった。
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