研究概要 |
(1)気管平滑筋のCa^<2+>依存性Cl^-電流-Neurokinin Aは、気管平滑筋細胞において脱分極を来すが、これは、一過性のCl^-電流の活性化とともに、それに続くK^+電流の抑制によるが(Pflugers Archiv 1995 in press)、さらにこの活性化機構につき検討するとともに、このCl^-電流は、電位依存性L型Ca^<2+>電流の活性化による細胞内Ca^<2+>の上昇により活性化されることが判明した。又、このCa^<2+>依存性Cl^-電流の活性化にも細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からのCa^<2+>放出も一部関与していると思われた。さらに、モルモット気管平滑筋細胞のIP_3-感受性及びCICR感受性Ca^<2+>貯蔵部位は、overlapがあると思われた。現在、このCa^<2+>依存性Cl^-チャネルの同定を単一チャネル記録により検討している。 (2)血管平滑筋のendothelin-1によるCa^<2+>透過性非選択性陽イオンチャネルの活性化機構-Vasopressinは、大動脈血管平滑筋細胞においてCa^<2+>透過性非選択性陽イオンチャネルを活性化し、それが、細胞外からのCa^<2+>流入に関与しているが(Heart Vessels 1995,in press),さらにこのvasopressin,endothelinの活性化機構につき検討した。(Circulation abstract 1994,in press)。Endothelin、vasopressinは、それぞれETA及びV1-receptorを介し、陽イオンチャネルを活性化するが、その活性化には、百日毒素非感受性G蛋白質の関与が示唆された。 (3)17β-estradiolの心筋、血管平滑筋のイオン電流に対する作用 近年、estrogen補充療法が、心血管系の死亡率を有意に低下されることが報告されて以来、estrogenの心血管系に対する作用につき注目されている。そこで、心筋及び血管平滑筋の膜電流に対するestrogenの効果につき検討した。17β-estradiolは、心筋及び平滑筋の電位依存性L型Ca^<2+>電流を抑制し、心臓においては抗不整脈効果を有し、血管においては、tonusの調節に役割を演じていると考えられた。一方、Vasopressin.endothelinによるCa^<2+>透過性陽イオンチャネルに対しては、抑制効果を認めず、Ca^<2+>チャネルに対する抑制効果は特異的であった。 以上、イオンチャネル活動と細胞内情報伝達共役機構に関して検討を行なったが、今後も継続する必要があると思われる。
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